アメリエフ株式会社

空間的遺伝子発現解析|受託解析

「空間的遺伝子発現解析」は、組織における遺伝子発現を、細胞の位置情報を保ったまま捉えることができる技術です。組織切片画像と組み合わせて解析することで、従来のシングルセルRNA-seq解析では不明瞭であった組織中の細胞動態を、一細胞レベルで検出できます。特に、がんをはじめとする疾患の深い理解に繋がることから、病理学の分野で注目を集めています。

対応プラットフォーム一覧

アメリエフは多様な空間的遺伝子発現解析プラットフォームにWETから対応しております。

メーカ プラットフォーム 受け入れサンプルタイプ
10x Genomics社 Xenium FFPEまたはFF
10x Genomics社 Visium HD FFPEブロックまたはFFPEスライド
GCATbio社 Stereo-seq™ OCT凍結包埋新鮮組織
NanoString社 CosMx™ FFPEブロックまたはFFPEスライド
タカラバイオ Trekker™ 新鮮凍結組織またはOCT包埋組織

サービス内容

【WET】空間的遺伝子発現解析(Xenium 5Kの場合)
○ 10x Genomics社「Demonstrated Protocol CG000580」に基づきFixation + Permeabilizationを実施
○ 10x Genomics社のXenium In Situ Analyzerにてイメージング解析を実施
【DRY】データ解析
○ 解析レポート、報告会(2回実施、手法解説、結果解釈のディスカッション)、アフターフォロー(メールでのQ&A)
○ 発現定量解析(クオリティコントロール、正規化、データ統合、次元削減、クラスタリングおよびUMAP上の可視化・空間座標上の可視化、クラスタごとの特徴遺伝子の探索、着目遺伝子の発現量可視化(Feature plot, Violin plot))
○ サンプル間比較解析(各クラスタにおけるサンプル間発現比較解析、Gene Ontology解析、Reactomeパスウェイ解析)
○ 擬似系譜解析(Cell trajectoryの推定、Pseudotime の推定、着目遺伝子の発現パターン可視化)
※ 仕様外の解析や試行錯誤をご希望の場合は「コンサルティングプラン」をご検討ください。特に細胞種アノテーションは、お客様との綿密な議論を通じて進める必要があるため、標準解析プランでは対応いたしかねます。
※ 1スライドに複数切片を載せる場合は価格が変動することがありますのでご相談ください。

データ解析内容

解析結果

サンプル要件 / 注意事項

サンプルタイプ:FFPE組織スライド

※ 対応生物種:ヒト、マウス
※ 2スライド単位での受付となります。
※ 専用スライドとスライド作成資料をお客様にご送付致します。
※ Xenium専用のスライドを使用し、スライドの指定領域内にFFPE組織切片をマウントしてください。(切片厚は5 μm)
※ 発注時に、スライド発送予定日を必ずご連絡ください。
※ プラットフォーム毎にサンプル要件/注意事項が異なりますので、詳細はお問い合わせください。

空間的遺伝子発現解析とは

 空間的遺伝子発現解析は、生物組織内の特定の部位における遺伝子発現の可視化を行う技術です。この技術は、2020年には約500件の研究論文が発表されていましたが、2023年にはその数が倍増し、今後もますます研究と応用の幅が広がっていくことが期待されています。
 この技術の特徴は、組織内の遺伝子発現を空間的に捉え、各スポットの遺伝子発現プロファイルを解析する点にあります。例えば、スポット間の遺伝子発現の差や、細胞間の相互作用を解析するために活用されています。従来のバルクRNA発現解析では、組織全体の平均的な遺伝子発現しか把握できませんでしたが、空間的遺伝子発現解析により、より高解像度な細胞レベルでの解析が可能となりました。

空間的遺伝子発現解析結果

技術の進化と利点

 従来のバルクRNA発現解析では、組織全体の遺伝子発現量を一括で解析するため、平均化されたデータしか得られませんでした。これに対して、シングルセルRNA解析では、個々の細胞の遺伝子発現パターンを把握することができ、細胞間の違いや介入前後の変化も詳細に解析できるようになりました。このシングルセルRNA解析の発展が、空間的遺伝子発現解析の登場へと繋がっています。
 さらに、空間的遺伝子発現解析では、2次元あるいは3次元情報を利用して組織内の遺伝子発現を解析します。これにより、組織内の微少環境解析や細胞間の相互作用を詳細に観察することが可能です。

代表的なプラットフォームとその特徴

 現在、空間的遺伝子発現解析のプラットフォームとして、CosMx™(NanoString Technologies社)、Visium HD・Xenium(10x Genomics社)、Stereo-seq™(MGI社)などが主に利用されています。これらのプラットフォームは、解析に使用する遺伝子数や解像度が異なるため、目的に応じた選択が求められます。

解析のポイント

 空間的遺伝子発現解析では、空間自己相関やホットスポット解析など、空間情報を考慮した解析手法を用いることで、遺伝子発現を組織画像上にマッピングするなど、空間情報を視覚的に表現することで、データの解釈が容易になります。
 組織の不均一性や実験操作によるノイズは、データ解析の精度を低下させる可能性があります。具体的には、ライブラリーサイズや遺伝子長などの影響を補正するために、適切な正規化方法を選択する必要があります。また、実験日や操作者などの違いによるバッチ効果を補正することで、データの信頼性を向上させることができます。
 細胞の種類を自動的に分類する手法もありますが、解釈には注意が必要です。既知のマーカー遺伝子の発現パターンと比較することで、細胞タイプの解釈の精度を高めることができます。また、シングルセルRNA-seqなど他のデータと統合することで、細胞タイプの解釈をより確実にすることができます。

 

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