アメリエフ株式会社

amelieff home > 論文実績 > NGS解析結果の可視化システム構築(Web GUI)

コマンドを打つことなく、 簡単にNGSデータからビジュアライズした結果が得られるシステムを構築したい。
AWS環境への構築、というオーダーにも 対応してもらえた。


協和キリン株式会社
研究開発本部
浦川到 様(写真右)
西田智員 様(写真左)

商品名:データ解析サーバ(D001)

誰でも簡単にデータ解析が行えるシステムを作りたい

Q.ご研究について教えてください。

A.創薬研究の初期段階で新しい創薬のテーマを作ることや、既存のテーマを加速させる研究をしています。
 近年、簡単に作れる薬はほぼ発見しつくされて、創薬のコンセプトを見つけるのが難しい疾患が残っている状況で、創薬を取りまく環境は非常に厳しくなっております。人の遺伝子は約2万個ありますが、そのうち薬が認可されているターゲットは限られています。ターゲットになっていないタンパク質は既存の創薬技術では標的にすることが困難なことから“Undruggable “とされていますが、色々なデータの蓄積や創薬技術が進んでいますので、 “Undruggable“の中から” Druggable”なタンパク質を探索することができるという意味でデータサイエンスが重要になっています。

Q.導入前の課題を教えてください。

A.WETをメインにしてきたバイオロジーの研究員がNGSデータを扱うのが難しかったため、我々バイオインフォマティクスチームに解析の依頼が集中していました。そのため、人員的にも厳しいものがあり、なんとか効率化できないかなという観点で、システム化を考えました。
 定型的な解析をある程度自動化したい、また、バイオロジーの研究員が簡単にNGSデータから解析結果が得られるようなインターフェイスを備えたシステムを作りたい、というのが今回のモチベーションでした。

希望の構築環境とビジュアルイメージの提案力が決め手

Q.選定時の決め手を教えてください。

▲ プロジェクトの流れ。検討開始から納品まで約1年。

A.選定の際は、バイオロジーの研究員がコマンドを打つことなく、データを入れればビジュアライズした結果が得られるというシステムを実現できるかという点と、 IT側の観点から弊社のAWS環境内にシステムを構築できるかの2点を重要と考えていました。
 複数社に相談したところ、他のベンダーでは弊社のAWS(Amazon Web Services)環境に構築することは難しいという回答でした。そのため、弊社のAWS環境にシステムを導入できて、検討の際に出していただいたビジュアルイメージがよかったという理由から、弊社の要望を実現してくれると考えアメリエフへの依頼を決めました。
 また、昔からアメリエフがゲノム解析に強みがあることを知っていたため、研究の観点からもデータ解析に精通しているという安心感があり、決め手の一つでした 。

Q.開発期間中にご苦労はありましたか。

A.基本設計は認識にずれもなくスムーズでした。最後のビジュアライゼーションの画面表示に、一番時間がかかったように記憶しています。理由は、我々バイオインフォマティクスチームだけでなく、実際に使うことになるバイオロジーの研究員の「こう見たい」という視点を取り入れるため、何度かWEB会議をしながら詰めていったためです。
 その際、アメリエフの用意したAWS環境上にドラフトのシステムを置いていただき、実際に動かしながら検討したのがわかりやすかったです。打ち合わせ後に、変更希望の箇所を連絡し、修正していただくというのを何度かやり取りして完成させました。

Q.このシステムを導入しての効果はいかがですか。

A.我々バイオインフォマティクスチームの手を介すことなく、バイオロジーの研究員が自分がやりたいタイミングで解析できるようになり、想定通りの効果がありました。
 また、導入初期は、NGSデータの解析がメインかなと思っていましたが、意外とサンガーシーケンスを使う研究員が多く、想定外の使い方でした。サンガーシーケンスは量が多くないので手動で解析するのかと思っていたのですが、ツールがあると気軽に解析にかけられるということで便利さを感じてもらえたと思っています。

Q.今後このような、データ処理からのデータベース登録と取り出すインターフェースを備えたシステムは、活用範囲が広がりそうでしょうか。

A.今はデータをビジュアライズしているだけなのですが、蓄積されたデータをデータサイエンス的な切り口で活用するという可能性はあると思います。データを登録するように研究員に呼びかけるよりは、今回のようにユーザにメリットがある形でデータが溜まっていくツールがあると、よりデータを活用しやすい環境に近づくのかなと思います。

インタビュー:2019年12月

協和キリン株式会社
協和キリングループは、「医薬」の事業分野において、高度な技術とユニークな視点で独自の研究を進め、高品質の製品を開発・提供しています。日本を代表するライフサイエンス企業として、常に新しい可能性へ挑戦し、世界の人々の健康と暮らしに貢献していきます。
● 設立:1949 年 7 月 1 日
● 資本金:267 億 4,500 万円(2019 年 12 月 31 日 現在)
● 売上高:3,058 億 2,000 万円(連結、 売上収益、2019 年 12 月期)
● 従業員数:5,267 人(連結ベース、 2019 年 12 月 31 日現在)
● 事業内容:医療用医薬品の研究・開発・製造・販売および輸出入等